将来性や社会貢献性の高さから注目度が高まっている「リユース業界」の全容について、新卒学生向けに解説する本シリーズ。第2回で取り上げるのは、「リユース業界が成長するといわれる理由」です。
前回の記事でも解説したように、経済合理性が高いリユースビジネスは不況などの影響を受けにくいという特徴があります。実際に国内市場規模は、集計がスタートした2009年の1兆1274億円から13年連続で拡大しており、2022年には2倍以上の2兆8976億円に到達しました。
この傾向は今後さらに加速すると予測されており、2030年には4兆円市場に到達するとも言われています。
本記事ではそんなリユース業界の今後の成長要因についてレポートしていきます。
日本製品の海外人気
品質・耐久性・デザインなどの観点から、世界的に人気がある日本製品。「モノを大切にする文化」が根付いていることもあり、リユース品の状態の良さは海外からとくに高い評価を得ています。
たとえば家電製品は、機能性や平均寿命の長さ、コストパフォーマンスから、途上国をはじめとして高いシェア率を獲得している商材です。また漫画・アニメ・フィギュアなどのサブカルチャーも、支持層の多いジャンルといえるでしょう。
これらのニーズを受けて、現在はインバウンドにとどまらず海外向けにECや店舗を展開する日本企業も増えており、国内市場の成長に大きく寄与しています。
ブックオフも海外事業を積極的に推進中です。マレーシアを中心に展開する「Jalan Jalan Japan」では、国内で販売に至らなかった買取品を輸出。年間で144万人ものお客様に利用されており、国内リユース品の出口戦略としても機能しています。
SDGs、サステナビリティの重要度の高まり
SDGsの普及により国内外でサステナビリティの重要度が高まったことも、リユース業界の拡大を後押しする要因のひとつです。
「リユース=環境に優しい」というイメージがメディアなどを通して幅広い層に広まりました。中古品に対するネガティブな印象が払拭されたことで、リユース人口の増加につながっています。
とはいえ現時点でのリユース経験人口は、3,400人程度とまだまだ少数派。日本の家庭に眠っている「かくれ資産」は総額で66兆円を超えるとも言われており、これまでリユースと縁がなかった層にアプローチすることでさらなる成長が期待できるでしょう。
たとえばブックオフでは、リユースとの接点がなかった高所得者層に向けてサービスを展開するとともに、教育事業・イベント開催などを通じて「SDGsやリユースの重要性」を伝える取り組みを推進しています。
コロナ禍以降のライフスタイルの変化
コロナ禍以降は消費者のライフスタイルが大きく変化したことで、新たなニーズが発生しています。
たとえばテレワークの導入により家で過ごす時間が増加したことで、快適な生活空間のために家具・家電・生活雑貨などの売上が拡大。不用品を処分するというニーズも高まっており、買取の活性化につながりました。スポーツ・レジャー用品や玩具・模型など、三密回避の需要から売上が伸長した商材もあります。
またコロナ禍にECをはじめとするBtoCのオンラインサービスが拡充したことで、リユースの利便性が向上。さらなる業界の成長につながりました。
トレカブームが業界を牽引
コロナ禍の巣ごもり需要をきっかけに国内・海外で人気が急上昇し、依然として高い成長率をキープしているのが「トレーディングカード」です。
とくに、希少価値の高いカードが高値で売買されるリユースのトレカ市場は取引が活性化している領域。2021年の中古トレカ市場規模は、新品市場を200億円上回る1,400億円にも及びました。さらに2022年の市場規模も、玩具・模型全体で前年比17.5%増とリユース業界全体の成長率7.4%を大きく上回っています。
ブックオフはこの動向にいち早く反応して、既存店のトレカ売場拡大や対戦スペースの設置、全国規模のトレカフェス開催といった施策を実施。新規事業としてトレカ専門店「Japan TCG Center」の展開もスタートしました。
中古トレカ市場はまだ価格の相場が確定しきっておらず、査定にも相応の知識が必要とされるため参入ハードルは高め。ニーズの変化を察知したスピーディーな取り組みが、他社との差別化につながっています。
以上、リユース業界が成長するといわれる理由を解説してきました。業界研究シリーズの第3弾では、「リユース業界のやりがい」や「向いているタイプ」について紹介するので、ぜひあわせてチェックしてみてください。