リユース業界・リユース企業は、「将来性がある業界で働きたい」「社会貢献性の高い仕事に興味がある」という学生に人気の就職先です。
しかしリユース業界の仕組みや現状・仕事内容について、よくわからないという人は多いのではないでしょうか。
そこで本シリーズでは新卒学生の業界研究の情報ニーズに応えて、リユース業界の概要や動向をくわしくレポートしていきます。第1回で取り上げるのはリユースの概念やリサイクルとの違い、基本的なビジネスモデルについてです。
リユースとリサイクルの違いとは?
「リユース(Reuse)」は、「リデュース(Reduce)」「リサイクル(Recycle)」に並ぶ循環型社会の形成に必要な概念「3R」のひとつです。
3Rの筆頭に挙げられる「リデュース」は、資源や廃棄物の発生を抑制する取り組み。企業のモノづくりだけでなく、レジ袋・ペットボトルの消費を抑えるためにマイバックや水筒を持参したり、必要以上の食料品を買わないようにしたりといった日常的な心がけもリデュースに含まれます。
「リサイクル」は、廃棄物を原材料・エネルギー源として新たに再生させることです。結果として新たに消費される資源を減らし社会の持続可能性に寄与します。
一方、「リユース」は不用品を法人・個人間で売買することによって、モノを捨てずに再利用する取り組み。モノを資源レベルに分解するリサイクルとはちがい、不要になったモノや部品の形をとどめた状態で循環させるのが特徴です。そのため分解・再生に必要なエネルギーが抑制でき、手間や費用もリサイクルほどにはかかりません。
加えて「経済合理性」を原動力にモノを循環させる仕組みもリユースの大きな特徴といえるでしょう。
リユースサービスのユーザーは、不用品を手放すときに買取代金を受け取れるため、多少の手間がかかっても「捨てずにリユースしよう」というモチベーションが発生しやすくなります。リユース品は一般に新品より安く入手できることから、購入者にもメリットがあります。
そのためリデュース・リユースと比べても、消費者の自発的な参加を促しやすく環境保護に大きく貢献する領域です。現在はSDGsの認知拡大による環境意識の向上などが追い風となり、成長性の高いビジネスとしても注目されています。
リユースビジネスの仕組みと商材
リユースビジネスの基本的なプロセスは、消費者から買い取った商品を再流通できるようにメンテナンスして、店頭またはオンライン上で販売するというものです。
新品を扱う一般的なビジネスと違って、リユース品の買取価格(仕入値)・販売価格は、商品のコンディション・付属品の有無・市場ニーズ・供給量などにもとづき大きく変動します。
そのため商材の知識や市場の動向といった複合的な要素を考慮して適正価格を設定することが、リユース業の醍醐味といえるでしょう。
近年は本、CD・DVD、ゲーム、アパレル、ブランド品、スポーツ用品、玩具・ホビー、家電、家具、車などなど、さまざまな商材がリユース品として流通しており、販売チャネルも多様化していることから、さまざまな知識・スキルを持った人材が必要とされています。
「BtoC」ビジネスのほかに、フリマアプリやオークションサイトなどのオンラインサービスを介して個人間で売買を行う「CtoC」のニーズも拡大中です。手軽さやコストパフォーマンスが特徴のCtoCと、信頼性・安全性に強みがあるBtoCの両面で業界が活性化しています。
ちなみにブックオフはBtoCのリユースビジネスを中核に据えている企業。全国展開の店舗網や利便性の高い各種オンラインサービスを通して、幅広い商材の買取・販売を実現しています。
以上、リユースの概念や具体的なビジネスモデルについて解説をしてきました。
次回のテーマは「リユース業界の成長要因」。2030年には市場規模が4兆円に拡大するとも予測されるリユース業界の成長の要因について、くわしく解説していきます。リユース企業への就職に興味があり、業界について理解を深めたいという人は、ぜひあわせてチェックしてみてください。